※今日はお話形式です。
昔むかし、あるところに、とても家族思いの心の優しい女の子がいました。
女の子には、強くて面白いお父さん、朗らかで優しいお母さん、ちょっぴり気弱なお姉さん、やんちゃな弟がいました。
きょうだいの中でも一番賢くてお父さんの面白さを受け継いだ彼女は、その才能をいかんなく発揮して、
都会の街に出て勉強をし、
街でお仕事をするようになり、
遠い国にも行き、
たくさんの人を従えるようになりました。
とても優しい心の持ち主の彼女は、
お姉ちゃんのピンチを支え、
お父さんが亡くなった時自分も悲しいのにお母さんを支え、
友だちから助けてと言われれば駆け付け、
いつも、いつも、人のために、何かをしていました。
🌻🌻🌻🌻
そんな彼女でしたが、自分のために、誰かに「助けて」と言うことは、
なぜか、できませんでした。
実の両親やきょうだいにも、言うことができませんでした。
大切な友だちにも、言うことができませんでした。
「私が『助けて』と言ったら、みんなに迷惑がかかる。」
「もし『助けて』と言って誰も助けてくれなかったら、とても悲しい。」
そんな思い込みがあったのです。
🌻🌻🌻🌻
それを見ていた神さまは、
「この子はこんなに素晴らしいことをしているのだから、人と繋がって助け合って、もっともっと幸せになって良いはずなんじゃがなあ。」
と思い、
彼女が『助けて』と言えるように、
さまざまな試練を与えました。
お父さんが亡くなったり
お仕事でピンチがあったり
身体の調子が悪くなったり
王子様が違う国に行ってしまったり
それでも、とても強くて頑張り屋さんの彼女は、
『助けて』と言わずに、
全てを自分一人の力で乗り越えてしまうのでした。
🌻🌻🌻🌻
それは、普通の人を超えた精神の強さでした。
精神が強いあまり、身体に無理をさせることもしばしばでした。
そんなある日、彼女の身体が反乱を起こしました。
「人のことばっかりじゃなくて、私たちのことも見てよ!」
「このままじゃ、苦しいよう」
それは、神さまの計らいでもありました。
「こんなに『助けて』と言わない子は珍しいのう。仕方がない、もう少し大きな試練を与えてみよう。」
彼女が、『助けて』と言えるように。
🌻🌻🌻🌻
果たして、
今回ばかりは、彼女は観念したのでした。
家族や友だち、仕事仲間に、身体の不調を話したのです。
やっぱり直接的に『助けて』とは言えない彼女でしたが、
不調を話すことだけでも、彼女にとっては、とても勇気がいることだったのです。
すると、彼女にとっては不思議なことが起こりました。
彼女の力になりたいという人々が、どんどん現れたのです。
仕事の穴を埋める
傍にいて家事をする
話を聞く
ただ傍にいる
みんなが、自分のできることを、少しずつ、やりました。
みんなも、彼女の力になれることが、嬉しかったのです。
いつも、彼女に助けられていたから。
いつも、人を助けてばかりの彼女を知っていたから。
🌻🌻🌻🌻
彼女と少し境遇や性格が似ている正美ちゃんも、その一人でした。
自分ができることが増えたこと
もちろん正美ちゃんにできることは十分ではないけれど、そんな非力な自分を受け容れて、力のある人を頼ること
どんな事態でも絶望しないこと
これまでの経験が、少しでも役に立つことが、嬉しいのです。
不謹慎かもしれないけれど。
秋分の日に。
このことが恩恵となり、彼女が新たなステージに行くことを祈って。