親友からのロースクール受験の誘いに、私は、少しの間、迷いました。
当時は、ロースクール制度が始まったばかりで(私達は2期なので1期が入学した直後から受験が始まりました)、どの学校も合格倍率は10倍程度の大変な人気でした。
ロースクールに合格したとしても、「あの」司法試験の勉強を3年は続けなければならない。
大学時代から、大変な勉強なのになかなか結果が出ない受験生を見てきたので、
新試験は合格率が高いとはいえ、そこまで頑張る知力、体力、精神力が、果たして自分にあるのか。
司法書士試験の勉強をして、法律の難しさや範囲の広さは分かっていました。それだけに、怖かった。
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お金の問題もありました。
少なくとも3年間、無職無収入。
そして、母も定年を迎えた。これまでのようには甘えられない。
もし合格できなかったら、30代後半で、職歴に大きなブランクがあるまま、社会で生きていかなければならない。
果たして再就職可能なのか。
社会で生きる=会社員として働く、という考えしかなかった当時の私にとっては、お金の問題は、大きなプレッシャーでした。
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そして何より、これらの山を乗り越えていく自信のなさ。
離婚した当初は、大きな問題からの解放感で溢れていましたが、
時間が経つにつれ、私は、自分の存在を肯定することができなくなりました。
結婚までした人と添い遂げられなかったのは、
自分が忍耐力が足りなかったからじゃないか、
女として魅力が足りなかったからじゃないか。
本当はもっと頑張れたんじゃないか。私が頑張れなかったから、うまくいかなかったんじゃないか。
また、
正社員キャリアが25歳から断絶していたことで、社会人としての自信を失いました。
子どももいません。
「私には、何もない。」
そんな風に思う日々でした。
本当はそんなことはなく、私には応援してくれる家族や友人、たくさんの時間、いろんな可能性があったのですが、
あの時は、そうは思えなかったのです。
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それでも、結局、私は、ロースクールを受験することにしました。
自分に自信がないこと以上に、
もうあとがない、私が私として生きていくためにはがむしゃらにやるしかない、
自信がないなら、つけるしかない。
と思ったのです。
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そして、もう一つ、大きな理由がありました。
母を、助けられなかったのです。