昨日は、隣の県の某裁判所の支部で期日だった。
行きは駅からタクシー、帰りはタクシーが来ないしGOを使うほどでもないのでバス、が私の定番である。
冬至直前の早い夕暮れ時、帰りのバス停には、私の前から並んでいる70代と覚しき小柄な女性と私だけが並んでいた。
身を切るような寒さ、とまではまだまだいかないが、寒風なのは間違いない。
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「バス、もうすぐ来るよ。」
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ふいに女性が言った。
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突然話しかけられて、ここ関西だっけ?、などと思いつつ、私は、
「そうなんですか?ちょっと時刻表は把握してなくて。」と答えた。
女性はバス停の時刻表を確認しながら、「うん。寒いからねえ。早く来てほしいよね。」と自分の言葉が願望混じりであることを告げた。
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ほんの少しの時間、私達は会話をした。
ここのバス停には特定の会社のバス停しか停車しないこと、
もう片方の会社のバスは違うバス停に停車すること、
を私は聞き、
私が「会社同士の仲が悪いんですね。きっと」と言うと彼女は笑い、
これから都内に帰ると言う私に彼女は驚愕し、
彼女はこれから隣の駅で仕事であること、
3つ仕事をかけもちしていること、
を話した。
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立ち入った質問かな?と思いつつ、
「何のお仕事なんですか?」
と私が尋ねると、
彼女は屈託なく「お掃除よ。この歳になるとそれしかないからねえ。」
「でも、働けるだけありがたいよね。」と答えた。
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ああ、裁判所のお掃除の方なんだな。と思い、
私は、
「裁判所の庁舎って、結構古いところが多いんですけれど、どこに行ってもキレイに掃除してあるんですよね。トイレにはお花が一輪飾ってあったりして。」
「大変な人がたくさん来る場所だから、そうやってキレイにして頂けてるとありがたいなあっていつも思います。」
と伝えた。
彼女は、少し誇らしげにニッコリと笑い、
「そうそう。掃除が行き届いていれば、建物が多少古くてもいいよね。」
と答えた。
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私がお礼を伝えたことは、本心で、
実はいつも感じていることだった。
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伝えられて良かった。
トイレの神様だったのかな。笑
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満員のバスから降りて、トイレの神様は、人混みに消えた。