皆さま、こんにちは!愛し合っていますか?
たまに戦う弁護士の小川正美です。
超・超・久しぶりのブログです。
ななななんと前回の記事から、1年3か月近くが経過していました。
そして、前回の記事も、「例の訴訟」、私が9年前の訴訟の相手方から2度の懲戒請求の末、民事訴訟を提起された件についてでした。
一審判決が出て、勝訴した、というところでした。正確に言うと、私の反訴も請求棄却でしたので、喧嘩両成敗でした。
予想どおり、相手方は、控訴しました。
私は、控訴しませんでした。
そして、2023年6月、控訴審でも、控訴棄却、すなわち私の勝訴判決が出ました。
さらに、相手方は、最高裁に上告しました。
そして、2024年3月、最高裁でも、上告棄却でした。
法的な紛争は、終結しました。(また別訴を提起するということも考えられますが)
昨年1月に、私は、
今のこの状況を創ってきたのは、ほかならぬ私自身なのです。
責任者は、私。
ということを、受け容れることにしました。
そして、
そこに立って、
控訴審の第1回口頭弁論期日において裁判官からの和解打診がブレイクした後、出頭してきた相手方と、裁判所のロビーで膝を突き合わせて話しました。約3時間半。
人間同士が本当に本音の話をするならば会って話すのが一番だ、そして、相手方と相対して話すには控訴審の期日は絶好の機会だと思ったのと、
裁判所のロビーは、ガードマンもすぐそこに居ますし、平日の昼間は常に大勢の人がいるので安全だろう、という目論見もありました。
相手方は、
一審の期日に私が出頭しなかったことに対する不服(全て電話会議で対応しました)、自分たちの主張つまり彼らの見ている世界(それは事実であろうことも事実ではないであろうことも含まれていましたが、彼らの真実でした)、私が彼らの世界に理解をせず一方的な原告(私のクライアント)側の主張をしていて公平性を欠いていたこと(私は裁判官じゃなくて弁護士なんだが・・・と思いましたが笑)、私の書面の文言が怖かったこと、等などを述べました。
私は、彼らの主張を聴き、
え??私のどこが一体怖いんですか??どこにでもいるオンナだし、腕力もないし、とびっくりして尋ねたりもしましたが、
彼らの「弁護士たるものこうすべきだ」という基準に基づいた言い分を、「そう思われるんですね」「そう感じたんですね」と受け容れました。
途中で思わず反論したくなって口にした言葉で少し議論になりそうな時もありましたが、
概ね、彼らの気持ちは、お聴きしたと思います。
話をしてみて分かったのは、
怖かったのは、私だけじゃなく、
彼らも、私のことが怖かったんだ。
ということでした。
私は、自分が訴えられるということそのものというより、自分が人からそんなにも恨みを買ったということ、自分がそんなにも人を傷つけたということが怖かった。
裁判や人間関係のトラブルには慣れているけれど、自分が当事者になることは初めてだったし、
人のネガティブな感情が時には犯罪も引き起こすということを刑事事件を通じて知っていたから、
どんな報復を受けるのだろう、と怖かった。
でも、彼らも、私のことを怖かったと言った。
私は、自分を無力だとずっと思っていました。
クライアントを助けたいのに助けられない、そんな思いを何度もしました。
勝利したとて、それがクライアントにとっての幸せなのかわからない。そんな風に思ったケースもいくつもあります。
でも、彼らは、私のことを怖かったと言っている。
そして、私はどんなにこの人達を傷つけたのだろう、
いや、彼らだけではなく、私はこんなにも無神経に人々を傷つけてきたのか、
と思ったら、
自分のことが、怖くなりました。
でも、自分を怖がっている場合じゃない。
そんな「自分を呪うかわいそうな私」ごっこをやっている場合じゃない。
それはもう十分にやってきた。
だから、私は、前に進むために、
自分は無力ではない、ということ、
予想以上に力を持っているらしいこと、
それはすなわち、人によっては怖い存在なんだ、ということ、
逆に言えば、諸刃の剣を持っているのだから人を力付けたり影響を及ぼしたりすることができるんだ、ということ、
そして、私自身も、自分に力があると思うことは怖いんだ、ということ、
を受け容れる必要があるのです。
自分の強さと弱さの両方を受け容れず、ただ漠然と怖いという気持ちに酔っていたら、自分の外側の人が自分を傷つける敵に見えてしまう。
そうすると、自分を守るために、虚勢を張るようになる。
本当はただ怖いだけなのに、虚勢を張って、張り子の虎同士がぶつかると、
それこそ自分も相手も傷つけることになる。
それなら、
弱くてもいい。
「怖いんです。」
そう最初から言えたらいいなと思う。
ちなみに、私は、いつも怖いです。一寸先は闇といつも思っている。
クライアントからは安心感があると言われることが多いので、期待に応えたくて怖くないふりしてるけど。(笑)
ただ、一寸先の闇が実現したとしても、
私も、クライアントも、大丈夫。
と思っています。
私のクライアント様たちは、みんな、偉大だから。
★訴訟の相手方と自分に向き合ってみたシリーズ。めっちゃたくさん笑
