目覚めた後も強く印象に残っている夢がある。
空を飛んでいる夢、殺される夢、家族が死ぬ夢、死んだ人が登場してメッセージを残す夢、などが典型的だろう。
私も、いずれも見たことがある。
今朝も印象に残る夢を見た。
ただ、夢の中の登場人物は、全員、今の私が知らない人達だった。私は、傍観者というか観客。まるで映画を見ているような夢だった。
観光が主産業のとある地方都市に、駅近くの商店街で小さな定食屋を営む中年夫婦が住んでいた。
夢の中では現代の設定だったけれど、街やお店の雰囲気は、昭和30年代か40年代の古めかしいイメージ。
夫婦は、2人とも大人しい性格で、素朴で、貧しく、まじめに働きながら、自分たちの身の丈に合わせた暮らしをしていた。
ある日、夫は、結婚記念日に妻にエメラルドのペンダントとイヤリングをプレゼントしようと思い、商店街の宝石店でアクセサリーを購入した。
決して高級品ではないけれど、夫にとっては大枚をはたいて買ったプレゼントだ。妻の喜ぶ顔が目に浮かんだ。
買ったアクセサリーの箱(なぜか透明なケース)を、紙袋にも入れずに持ち歩いていたので、夫がエメラルドのアクセサリーを持っていることは一見して明らかだった。
その様子を見た夫と同年代か少し若い男たち2人が、夫に近寄った。
「分かってるよな?」と言って、アクセサリーを取り上げた。
カツアゲだ。
カツアゲだけれど、男たちの外見はさほどガラが悪いわけではなかった。
夫は、反射的に抵抗したが、男たちはするりとアクセサリーの箱だけを取り上げて、商店街を去って行く。
追いかける夫。
商店街から離れた、整備された美しい広い公園(ここは現代風な場所)で、夫は、彼らに追いつく。
夫は、泣きながら、彼らを殴る。ひたすら、殴る。
自分の愛を理不尽に傷つけられた怒り、大切なアクセサリーを守り切れなかった怒りに身を任せて、殴る。
男たちの骨を破壊する鈍い音が、夜空に響く。木々がざわめく。
圧倒的な暴力。
そんな夢だった。
目覚めた時、私は泣いていた。腹の底に軽い痛みを感じた。
こんな夢を見たのは、
前日に「怒りが怒りを呼び、最後には戦いになる」という話を読んだからかもしれないし、
暴力への恐怖心を搔き立てられたのかもしれないし、
夢の中の夫婦の素朴さにどこか自分の両親を投影していたのかもしれないし(エメラルドというのが両親なのだ)、
潜在意識下に埋もれた未消化の感情を呼び覚まされたのかもしれないし、
はたまた過去生の記憶を呼び覚まされたのかもしれない。
謎である。
何しろ、私は暴力は好きじゃないし怖いので、仕事で接する機会はあれど、極力避けてきた。これまで映画等で暴力をメインに描く作品を見たこともない。
自分の内面において暴力というものと対峙したのは、初めてかもしれない。
たぶん、夢の意味を分からなくても良いのだろう。
分かる時が来るかもしれないし、来ないかもしれない。
また1つ、この世界から、何らかの怒りの感情の塊が昇華されていった、と思っておけば良いのかもしれない。
と、思っていたら、
今日のご相談は、「暴力と怒り」についてであった。
これかな。これだな(笑)