皆さま、こんにちは!愛し合っていますか?
結構好きなこのシリーズ、第3弾です。
珍しく、うちの弟のことを書きます。
うちの弟は、今は見かけも中身もおっさんですが、小さい頃は、女の子みたいに可愛い容姿で、「可愛いから」という理由で、いつも赤い服を着せられていました。
近所には男の子ばかりでしたが(つまり私にとっても近所は男の子ばかりだった)、下の子というのは上の子が好きなのか、結構私にくっついてよく遊んでいました。私が小学校に上がって、同性の友だちと遊ぶようになっても、女子たちのごっこ遊びに混ざりたがり、女子だけで遊びたい私は、弟を払いのけてよく泣かせていました(笑)
母37歳、私10歳、弟8歳(小学校2年)の時に、父が亡くなりました。
彼は、結婚していて、妻と女の子2人の4人家族です。
つまり、彼の人生において、家庭生活のほとんどは、女の中に男が1人なのです。そのためか、見かけによらず繊細なところもある人です。
彼は、子どものころから、母といい、私といい、強い女ばかりに囲まれていたわけですが(お嫁さんは一見おっとりタイプだが某スポーツで国レベルまでいったほどなので芯は強い)、
父が亡くなって以来、特に母に対して、
「僕がお母さんを守らなきゃ」
と強く思っていたようです。
それは、普段は出てこないのだけれど、例えば、母がツラそうにしている時、病気の時、顕著に表れてきました。
ちなみに、私が、大学のころ、遅れてきた反抗期で夜遊びしまくって母に結構心配をかけていた時期だったと思うのですが、大学受験間近のヤツ(弟)とケンカになったことがありました。
私も弟も勉強はできる方で、同じ高校に行っていました。3学年違いなので被りませんでしたが。
ただ、昔から、少しだけ、勉強は私の方が得意でした。
弟は、大学受験のころ、姉貴にだけは絶対負けたくない、と競争心をあらわにしていた、と母から聞きました。私はそのころ遊び惚けてたよ。
ケンカのきっかけは何だったか忘れてしまいましたが、その時、弟は、私に対して、これまで見たこともないほど早口で捲し立ててきました。罵詈雑言というよりも、結構論理的に、「お前はいつもこう言ってるけど、そうじゃねえだろ、正しいのはこうだろ」と詰められ、かつ感情的にも「俺はこれまで我慢して言わなかっただけだ」と責められました。
私は、本当にびっくりしたし、人からそんなに責められたことはその頃はたぶん母親以外には初めてでショックだったし、で、ボロボロ泣き出しました。言い返すこともできなかったと思います。二の句が継げないとはこういうことか、と今にして思います。いや、今だったら、もちろん言い返すけどね。たぶん(笑)
(余談ですが、この時の体験があるおかげで、「夫のモラハラ的暴言に何も言い返せない」というクライアントさんの気持ちが分かります。)
この時、どうやって仲直りしたのかは忘れてしまいましたが、私と弟は、いつの間にか仲直りをしていました。
その後は、私も社会人になったり、家を出たり、結婚したり、と距離が離れていったので、異性でもありますし、そう頻繁に連絡を取ることもありませんでした。
ただ、私が元夫と別居して、実家に帰ってきてからは、弟が荒れた時期がありました。母と弟の2人暮らしだった家庭のバランスが崩れたのでしょう。
その頃は、母もまだ元気で働いていて、私から見ると過保護じゃない?と思えるほど弟の身の回りの面倒を見ていました。靴を磨いてあげたり、出張の準備をしてあげたり。そのあたり、弟も母に甘えていたのでしょう。もちろん、私は、そんな母を過保護だ!と嫉妬交じりで批判していました(笑)
私が帰ってきたことで、母の関心が私にも向き、弟は荒れたのだと思います。20代後半のきょうだいが、母の愛情を奪い合っていました。まあ、この時奪い合ったおかげで、遺産分割でよく見る親の愛情の奪い合いをしなくて済んだのかもしれません。
そうこうするうち、弟は結婚して家を出ました。
そして、母が病気になりました。
この時、当たり前ですが、私も弟もかなり精神的に参りました。
でも、自分たちがしっかりせねば!と、頑張りました。今にして思えば強がりではありましたが。
私と弟の結束は強くなりました。何も言わなかったし、今も言ったことはありませんが、「両親の子ども」という立場の人間は世界中に私と弟しかおらず、母を喪失したこの体験からくる心の痛みを個別具体的に共有できるのは、弟しかいない。私たちは、いわば戦友なのでした。
このころ、平日動ける弟の奥さんに母の病院への送迎など頼み事をしていました。母も、私も、弟も、精神的に不安定かつ3人の結束が高まっていたため、弟の奥さんにはずいぶんと疎外感や負担感を与えてしまいました。
母が亡くなった後、弟は転職して遠方に転勤になりました。
弟からは、奥さんの愚痴を年に1度くらい聞きましたが、最初の数年は弟の味方を全面的にしていた私も(そうして欲しいんだろうなと思ったし、味方がいない感じがしているんだろうなと思ったから)、自分の経験もあってだんだんと大人になるうち、中立的に見るようになりました。
彼が、自分の奥さんが自分を支えてくれていない、と感じているところを、私が代わりに支えるのは弟夫婦にとって不健全だな、と思ったからです。
しかも、支えてくれていない、と感じているのは、支えてくれているところに目が届いていない、つまり奥さんの愛情を受け取れていないからだし。
そういうスタンスでいるうち、なぜか、弟の奥さんからも、夫婦関係についての悩みをごくたまに聞くようになりました。
私は、どちらにも同じことを言っています。「きっと、それが彼(彼女)の愛情なんだよ。分かってあげてね。」って。
特に、弟の愛情表現は分かりにくい。
「僕が守らなきゃ」という思いは、男の人は多かれ少なかれ持っていると思いますが、弟は、生育環境的に、特にそういう思いが強く、強がりというか女性には分かりにくい表現になっているし、甘えたい・頼りたいと素直に言えないのでしょう。
私に対してでさえ(笑)、「守らなきゃ」と思ってくれているんだなあ、とたまに感じるもの。ええ、たまに、ですが・・・(笑)ありがとうございます。
弟は(私もだけど)、父親不在の家庭で育ったため、夫婦のモデルがなく、手探りで茫漠とした中、家庭を築くのは大変だっただろうな、と思います。特に弟は、自分のモデルとなる父がいなかったから。
まあ、母の夫の代わりを8歳の男の子がしてきたおかげで、彼は結婚生活が継続しているのかな、一方で、母を引き受けてきた私は、母と似た人生を歩もうとして結婚生活が続かなかったのかしら・・・とも思ったりしますが。まだ諦めてないわよ(笑)
こんな話をつらつらと書いたのは、弟の奥さんから、嬉しい報告とともに、久々に私のブログを読んだよ、という連絡があったからなのでした。
私、本当に、弟夫妻に子どもがいてくれて良かったなあ、って思うのです。私が親に果たせなかったことを、代わりに果たしてくれた、って。ありがとう。
男の人って、やっぱり優しいよね。
女の人も、やっぱり優しいね。